定時通信 #5|2026年8月29日(土)

溝口健二の命日と成島出の訃報、自動散水器の導入、国立映画アーカイブ
伊藤弘了 2026.08.29
読者限定

今週の「定時通信」をお届けする。

「定時」と言いながら、本来の金曜20時から24時間30分遅れの配信になってしまったことを、まずはお詫びしたい。

■ 観測振り返り

ニュースレターの入り口を設置してみた。
既存の読者(通信員)にとってもいい案内図になっていればいいなと思う。

■ 観測予定

  • なぜ国立映画アーカイブのクラウドファンディングは衝撃的なのか?

2026年6月25日に国立映画アーカイブがクラウドファンディングを開始し、界隈に衝撃が走った。

この件に関して、僕が考えていることを観測記録として残しておきたいと思う。

  • 定時通信 #6|9月4日(金)

■ 観測対象

映画人命日

  • 溝口健二(1898年5月16日 - 1956年8月24日)

本来であれば前回の定時通信で触れるべきだったが、8月24日は日本映画史を代表する巨匠・溝口健二の命日だった。僕の本『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)でも、溝口を取り上げ、『お遊さま』(1951年)の冒頭を中心に分析を施している。

伊藤弘了『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)

伊藤弘了『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)

伊藤弘了『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)

伊藤弘了『仕事と人生に効く教養としての映画』(PHP研究所、2021年)

また、国立映画アーカイブでは、現在「没後70年 映画監督 溝口健二」の企画展が開催されている(2026年8月11日(火・祝)~12月13日(日))。

国立映画アーカイブ
@NFAJ_PR
本日8月24日は溝口健二監督のご命日。

現在、国立映画アーカイブでは企画展「没後70年 映画監督 溝口健二」が好評開催中です。

没後70年の節目を迎えたこの年、展覧会を通じて溝口芸術の深淵なる世界に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか?(本日は休館日・明日11時より開室)
2026/08/24 09:00
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***

・成島出(1961年4月16日 - 2026年8月24日)

映画監督の成島出の訃報が伝えられた。

数多くの映画を手がけた、日本を代表する映画監督の一人である。代表作を一本だけ挙げるとすればやはり『八日目の蝉』(2011年)だろうか。僕も好きな映画のひとつである。夏の終わりのこのタイミングで見るのにぴったりの映画かもしれない。

実は生前の成島監督とは面識がある。僕が大学院生の頃に、蓼科高原で開催されている「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」に参加したことがあり、その際のゲストのお一人が成島監督だった。

この映画祭はゲストとの距離が近く、懇親会では監督や俳優と普通に話ができた(それぞれの映画祭の個性、すなわち〈器〉の違いが出るところである)。公式の懇親会のあと、近くの居酒屋に席を移した二次会で成島出監督と直接お話しできたことは、得難い財産のひとつとなっている(「女囚さそり」シリーズなどで知られる伊藤俊也監督も同席していらっしゃった)。

その際、成島監督に「映画研究をしている」と伝えたところ「そんなことよりキミも映画を撮りなよ!」と言われたことをよく覚えている。映画監督として一線で活躍していた成島監督からすれば当然の発想だろう。僕はむしろそれを激励だと捉えた。「監督に存在意義を認めてもらえるような研究者、批評家にならなければ」と奮起するきっかけのひとつとなった。

まだ道半ばではあるが、その気持ちは今も変わらない。

成島出監督のご冥福を衷心よりお祈り申し上げる。

下記は成島監督の所属事務所アンカットが出した訃報と監督の略歴ページである。

■ 庭を育てる

学会のための東京出張に際して、庭の植物たちの水やりをどうするかに頭を悩ませた。妻と娘たちはそのタイミングで妻の実家に帰省しており、自宅には水やりできる人間がいなくなってしまう。

そこで、自動散水器を導入することにした。蛇口に取り付けるタイマー式の機器で、あらかじめ設定した時間になると自動で放水してくれるという代物である(散水時間も設定できる)。

二種類の散水口を使い分けている。

二種類の散水口を使い分けている。

庭全体をカバーするために10個のミニスプリンクラーを設置したわけだが、これがけっこう大変な作業だった。ホースが抜けないように、奥まで差し込む必要があるが、僕の力では難しく、ドライヤーを当てて柔らかくしながらひとつずつはめ込んでいった。

約一週間留守にしたため、うまく機能するかどうか不安を抱えながら東京に向かった。というのも、すべてのスプリンクラーの設置を終えたのが出発前日で、十分な試運転期間を設けることができなかったからだ。各スプリンクラーはそれぞれ散水量を調整できるので、植物ごとに微調整が必要だったが、出発直前に(呼びつけたタクシーに3分ほど待ってもらいつつ)大急ぎで調整した。その際、蛇口と散水器本体の接続部から水滴が漏れ出していることに気づきつつも、嫌な予感を抱えながら空港に向かうしかなかった。

そもそも屋外の蛇口と散水器本体の金具の口径が合っておらず、一致させるために間に2個の変換ネジを挟んでいる(一発で変換できる金具が見当たらず、この組み合わせを探すのも大変だった)。蛇口から器具が外れたら、文字通り水泡に帰すことになるし、もし水がダダ漏れになったら水道代の請求が恐ろしいことになってしまう(洗濯機と同じ原理で、機器のほうで水を止めている格好なので、蛇口は開きっぱなしである)。

僕としては、最悪、レモンマートルとレモンの木だけは守りたかった。それぞれ長女と次女が生まれた年に我が家にやってきた、彼女たちのシンボルツリー的な存在だからだ。仮にどこかのタイミングで、器具が蛇口から外れたり、ホースが外れたりといったアクシデントによって散水が止まってしまったとしても、この2本が無事なら許容できる。

果たして結果はどうなったか。一週間後に自宅に戻った僕は、真っ先に庭の状況を確認した。結論から言えば、そこには僕が予想していたのとは異なる光景が広がっていた。

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